製品レビュー

【 ソフトウェアレビュー 】 スマートカルテ

スマートカルテが、「覚えられない」を記憶してくれる。

Reported by Masahumi Mikawa
 

ビジネスの場では、多くの人々とコミュニケーションが発生する。電話や対面、メールなど、シーンは様々だが実に多くの情報が入ってくるはずだ。では、こんなことはないだろうか。

「あの人と、何を約束したのか忘れた」
「電話の内容メモをうっかりなくしてしまった」
「お客さまの情報が混在して分からなくなってしまう」

手書きのメモは、他の書類などに紛れてしまいがち。しかも汚してしまったら、せっかくのメモも読めなくなってしまう。特に長く覚えておきたい、管理しておきたい情報であれば、やはり“電子化”しておくのが得策だろう。

ではメモ帳やWordなどに情報を記載して、保管しておけば良いのか。確かにそれでも良いが、いちいちファイルを開くのは手間となる。例えば顧客情報を管理するならば、恐らく顧客の数だけファイルが作成されることになるだろう。しかも年月が経つにつれて、ファイルの内容は膨大となるはずだ。

そこで、そうした情報管理ツールとして手軽なものがないかと探している中、1つのWebツールに出会った。それが、「スマートカルテ」である。
スマートカルテは、メモ型の情報管理ツール。現在β版として公開されており、無料で試用することができる。専用のソフトウェアをパソコンへインストールして使うが、操作はWebブラウザ上で行う仕様だ。インストールしたソフトを起動すると、Webブラウザ上でスマートカルテが起動する。

…と、ここまでは今のクラウド化されたWeb時代において、普通と思われるだろう。私も最初はそう思ったが、まずは実際に利用してその機能性を確認することにした。

シンプルなインターフェース


ホームにはユーザー名が並ぶ。情報の抽出は、ユーザー名もしくは画面上部のメニューバーから行うことができる。

スマートカルテをインストールしてみると分かるが、一見すると非常にデザインはシンプルである。しかしだからこそ、使い勝手が良い。つまり、余計な機能がないのだ。画面上部にはメニューが並んでいて、それぞれ以下のような機能を持っている。

<ホーム>
スマートカルテのメイン画面。ユーザー名が一覧で並び、クリックするとそのユーザーに紐付いた情報が閲覧できる。

<1週間・1ヶ月>
カレンダー形式で、登録されたメモを閲覧できる。

<カルテ>
「ユーザー」「期間」「種別」毎に、登録情報を絞り込んで表示できる。

<レポート>
登録されたレポートを一覧で表示することができる。表示するレポートは絞り込みや、表示項目の限定機能も備わっている。

<ユーザー一覧>
登録されているユーザーの一覧が表示される。

<サマリ>
登録情報の分析データが閲覧できる。例えばユーザー全体のうち、誰にどの程度の比率で情報が登録されているか等を確認可能。

スマートカルテに期待する機能は、メモ情報の記録・管理にある。この基準において、スマートカルテは非常に素晴らしいパフォーマンスを発揮する。
まず管理する情報は、全て「ユーザー」に紐付く。ここで言う「ユーザー」とは、つまり「誰に関する情報なのか」ということだ。これはもちろん、企業名などでも登録できる。登録したユーザー毎に情報が保存されているので、例えば「三河賢文」のユーザー名をホームでクリックすれば、「三河賢文」に関する情報だけを一発で表示できるという仕組みだ。

好きに項目を追加できるユーザー情報


登録画面は見たままのシンプルな作り。「項目を追加」から、好きな項目をいくつも追加登録することができる。

ホームで「新しいユーザー」をクリックすると、ユーザー情報の登録が行える。これはあくまでユーザー情報の登録なので、現時点でメモなどを残す必要はない。例えば営業であれば、新規契約が結べた時点で相手企業をユーザーに登録しておく。すると、以後保存しておきたい情報が発生した場合、すぐにそのユーザーに紐づけて情報を登録しておけるというわけだ。

ユーザー情報として登録できる項目は、以下8つが基本。

・名前
・よみがな
・写真
・生年月日
・性別
・住所
・電話番号
・メールアドレス

いずれの項目も任意なので、入力しなくても登録は可能だ。また画像のサイズは2MBまで。GIF・JPEG・PNGが利用可能となっている。
加えてこの8項目以外にも、任意に好きな項目を追加することができる。ビジネスなら必須となるホームページURLやモバイル番号、支店情報など、利用シーンに合わせてカスタマイズできるというわけである。

例えば同じビジネスの場でも、職種や業種によって必要な顧客情報は異なる。あるいはユーザーが個人なのか法人なのかでも、同様のことがいえるだろう。その点スマートカルテは、基本を最低限の項目だけにすることでメリットを出している。

よくWebサービスでは、何らかの登録時に「こんなに不要だろ」と思うくらい無駄な項目が並んでいることがある。これは必要な情報が登録できなかったり、後から追加できるとしても、ユーザーに登録させるという手間を省きたいという思いがくみ取れる。しかし個人的には、必要な項目だけを自分でカスタマイズできるほうがユーザビリティが高いと感じた。

ノートの使い方は自由自在

ホームからユーザー名をクリックすると、そのユーザーの情報が表示される。メモ情報は「ノート」として登録されており、ノートを登録していれば、ユーザー情報の右側に時系列で登録されたノートが表示される仕組みだ。


ホームでユーザー名をクリックする、もしくはメニューの「カルテ」をクリックすれば、ユーザー毎の情報を閲覧できる。さらに「ノートを追加」をクリックすれば、ノートの追加画面へと切り替わる。

ノートに登録しておきたい情報を入力したら、「OK」をクリックすれば登録が完了する。
 

ノートに登録できる情報は、以下の6つが基本となる。

・ユーザー(他のユーザーへ変更可能)
・開始日時(終日設定可能)
・終了日時(終日設定の場合は項目無し)
・種別(=メモの種類)
・内容
・写真

いわゆる、カレンダー登録のような仕様だ。ここでもユーザー情報のように、任意で好きな項目を追加することができる。手順は、ユーザー登録と一緒だ。

最近では、Webカレンダーを使ってスケジュール管理をしている人も多いだろう。私もそのうちの1人だが、そんな人ならば操作は一目瞭然。非常に使いやすい。

例えば、顧客へのヒアリング情報。「いつ」「誰に」「何を」聞いたのか。後になって分からなくなったという経験はあるのではないだろうか。
私も過去営業職に従事していたことがあるが、私が身を置いていた人材業界では、特に顧客への“ヒアリング”が大切だった。求められている情報の整理は、過去に遡って把握しておくことが大切。さらにその情報を、他メンバーとも共有しなければならない。

つい型にハマッたことだけをヒアリングしがちだが、スマートカルテがあれば情報を失う心配がない。また顧客名(=ユーザー)に紐付いて情報が管理されているので、すぐに取り出せる。そのため、もっと綿密に顧客からのヒアリングを行うためのツールとして活用できると感じた。
ヒアリング時に「それは以前も話したけど」というような情報を聞いてしまうと、顧客からマイナスの評価を得てしまう。聞いた情報は忘れない。むしろ活用するために、スマートカルテは一役かってくれそうだ。

またもう1つ、お勧めの活用方法がある。それは、「電話メモ」としての活用だ。
「開始日」「終了日時」に電話のあった日時を設定して、電話内容の概略を入力しておく。そうすれば、一覧では時系列に電話内容を確認することができる。言った・言わないのやり取りを回避したり、あるいは何かトラブルが発生した際に、どこに問題があったのかを遡って検証するのにも役立つ。

もちろん、他にも活用シーンは自由自在といえる。例えば、こんな使い方はどうだろうか。

・営業先毎のヒアリング記録
・議事録(ユーザー名をプロジェクト名にする 等)
・外注先への発注メモ
・社員情報管理(個人情報、勤怠情報 等)

パッと思いつくものを挙げてみたが、自分が置かれた状況に応じて柔軟な使い方ができそうだ。その理由は、やはり後付けのカスタマイズを自由にしたシンプルな基本設計にあるといえる。

PDF出力で配布・ファイリングも可能


「PDF出力」をクリックすると、一覧に表示された情報がPDFファイルとしてはき出される。

PDFファイルのイメージは、Excelのようにシンプルになっている。
 

さらにもう1つ、便利な機能がある。それは、PDF出力機能だ。

「レポート」メニューを開くと、レポートの一覧が表示される。作成日時やノートの種別などで絞り込みを行ったり、「表示項目」をクリックすれば、画面上に表示する項目をカスタマイズすることもできる。これなら、目的のレポートを探すのも簡単だろう。

さらにその絞り込んだ一覧情報を、「PDF出力」をクリックすることでPDFデータとしてはき出してくれる。これは何でもない機能のように思えて、非常に便利だ。例えば会議の場でノートの情報が資料に使えるのであれば、出力→印刷すれば会議に参加するメンバーの手元へ配布することができる。

また中には、やはり電子データだけでなく紙情報としてファイリングしたいという場合もあるだろう。PDF出力では余計なデザインはなく、Excelデータのようなイメージで印刷できるので、ファイリングにも適するのだ。

実際の使用感としては、まず操作を覚えるのに「難しい」「分かりづらい」ということが一度もなかった。もちろんこれは個人差があるとは思うが、余計なものがそぎ落とされたシンプルさがあるからこそ、誰でもすんなり使いこなせるのではないかと思う。これは情報登録に限らず、一覧での絞り込みなども同様だ。

またノートを書かなくても、顧客情報のデータベースとしても利用できそうだ。営業ならここに訪問時の印象などを加えておけば、引継ぎなどでも資料として使えるだろう。
見たり聞いたりした情報は、すぐに忘れてしまう。「忘れてはいけない」情報を「忘れない」ために、スマートカルテは一役かってくれるはずである。


管理画面からは、データのバックアップや復元、外部からのインポートなども行える。

ちなみに画面右上にある「管理」をクリックすると、管理画面を開くことが出来る。
ここでは特に有り難い機能として、バックアップと復元、インポート機能が使える。データが失われることが心配であれば、バックアップを定期的に行うと良いだろう。また情報を誤って消去してしまったときも、バックアップをとっておけば慌てることなく元通りだ。

また情報登録には、CSVファイルによる外部からのインポートも可能。ただしインポートを行うと既に登録されているデータは削除されてしまうので、あらかじめ注意しておきたい。

Webサービスが、私たちの記憶容量をサポートしてくれる。スマートカルテは、まさにそんなサービスといえそうだ。
細かく全ての機能をご紹介することは難しいが、スマートカルテの概要やメリットは恐らくお分かり頂けただろう。どんな活用方法があるかは個人によって異なるので、是非まずは試してみてほしい。

レビュー著者

三河 賢文(みかわ まさふみ)
ITやビジネス関連を中心に、フリーライターとして活動。その傍ら、ナレッジ・リンクスの代表として外部に100名以上のパートナーを持ち、各種業務の受託を行っている。プライベートではマラソンやトライアスロンに挑戦し、「時間の使い方」を基本として、ワーク・ライフ・バランスの充実化に取り組んでいる。

■URL
http://www.knowledge-links.jp/
http://www.run-writer.com/
■ブログ
http://ameblo.jp/knowledge-links/
■Twitter
https://twitter.com/Masafumi_m/